【続】幼なじみは俺様王子。








「穂香」


名前を呼ばれて、ふと振り返る。


女の子達が群がるその中心に彼の姿はあった。



「あら、相変わらず人気ね。王子は」


真っ赤に腫らした瞳に涙を浮かべるあーちゃんがそう呟いた。


女の子達の黄色い声が遠くなり、楓との距離がだんだんと縮まっていく。


満開に咲き誇る桜の花びらが楓の周りを踊るように舞っている。


その中で優しく微笑む彼は、絵になるくらいカッコよすぎて時々クラクラしちゃうんだ。



「帰ろう、穂香」


あたしの目の前まで来た楓は、その大きな手のひらを差し出した。



「うんっ!」


大きく頷いてその手をしっかりと握る。


その隣で、あーちゃんと瀬川クンが親しげに話しているのが目に入った。


その姿を見て、思わず笑みがこぼれる。


ふたりとも幸せそうで何よりだよ……。



「いいなぁ、穂香もあーちゃんも。素敵な彼氏がいてさぁ」


愛チャンがわざとらしくため息をついた。



「愛にだってすぐ出来るわよ! ねぇ?」


あーちゃんにそう話を振られて、あたしは「もちろん!」と頷く。



「そんなことないよぉ。はぁ……残りは早川クンだけかぁ……」


愛チャンはうなだれながら、隣にいる爽に視線を向けた。



「……はぁ!? なんで俺が候補に入ってるんだよ!」


無造作に整えられた黒髪を掻きながら、爽が驚いたように声を上げる。


「だってぇ……早川クン、あたしのこと好きでしょ?」


ふふん、と得意気に鼻を鳴らす愛チャンのその余裕な態度が時に羨ましく感じてしまうあたし……。


こんな自信たっぷりで言われたら、誰だって呆気に取られるよね。


案の定、爽は切れ長の瞳を大きく見開いて言葉も出ないといった状態。



「だ、誰がお前みたいな女、好きになるか!」


「ひどーい。もおっ、恥ずかしがっちゃって!」


「あのなぁ……」


そんなふたりのやり取りを見て、あたしは笑顔を浮かべた。