その瞬間、心に残る黒い渦が打ち消されていくようにパッと消えていった。
そうして心の中に暖かいお日様が現れて、あたしを優しく照らす。
王子様のキスはまるで魔法のように、あたしの中の不安や痛みを取り除いてくれた。
楓は、本当に魔法使いなんじゃないのかな……?
そう疑ってしまうほど明確に。
……そうして、唇がゆっくり離れた。
「うっ、そ……」
「優勝者じゃないのに、王子様がキスしちゃった……」
館内が再びざわめきだした。
でも今度はみんな、驚きを隠せないような表情。
「か、楓……!」
まずいよ、これ。
こんなことしちゃってよかったの?
「これが、俺からのご褒美」
そう言って、あたしの唇に人差し指をあてる。
まるで、これ以上は何も言わせないと言った素振りで。
「……どう? 気に入った?」
「ど、どうって……」
『ちょ、ちょっと何してるんですか! 王子様とのキスはコンテストの優勝者のみですよ!』
今まで黙っていた司会者が、焦りを隠せないといった口調であたしの言葉を遮る。


