もしかして……楓が好きだって告白したこと?
楓はそれをもう一回言えって言ってるの?
「そ、そんな……」
なんか今更だけど、恥ずかしくなってきた。
あたし……なんてこと言っちゃったんだろう、こんな大勢の前で……。
恥じても時すでに遅し……。
「ほら、早く」
口ごもるあたしを煽るように楓はあたしを見つめる。
「言えねぇの?」
「そ、そんなこと、改まって言えないっていうか……」
「……ふぅん。言ってくれたらご褒美やろうと思ったのに」
楓はいつもそうやって意地悪してあたしを困らせる。
でもその後の甘い時間が嬉しくて……。
あたしは楓に翻弄されていくんだ。
まるで、王子様の恋の媚薬。
そしてまた、あたしはその媚薬によって
「す、好きだよ……?」
いつもより何十倍も素直になる。
いつもあたしをコントロールしてるのは、あたし自身じゃなくて。
「……よく言えました」
そう言ってとびっきり優しく微笑む王子様なんだ。
「ちゃんと言えたから約束通り、ご褒美あげなくちゃな?」
首を傾げて笑顔のままの王子様。
でも、口元から覗くのは少し妖しい笑み。
「穂香……」
掠れた声であたしの名前を呼ぶと、徐々に顔を近づけてくる。
あたしは瞬間的に目をギュッと閉じた。
そうして………
「好きだよ」
楓の柔らかい唇があたしの唇に静かに触れた。


