去年の愛チャンとはまるで別人だ。
去年は残酷で感情なんてないような女の子だと思っていたけれど。
あたし達といる愛チャンは全然違う。
可愛くて、少し天然でどこにでもいるような女の子。
援交も止めて、今はお母さんの知り合いだというアパートで1人暮らししている。
家賃はお母さんからの仕送りで払ってるらしい。
愛チャンも変わったなぁ…。
あと、もう一つ変わったことがある。
「ねぇ、穂香ぁ」
あたしを“穂香センパイ”じゃなく、“穂香”って呼んでくれるようになったこと。
去年はあたしに散々嫌がらせしてきたのになぁ…。
こんなことになるなんて思っても見なかった。
だけど、あたしは愛チャンを許してあげようと思っている。
桜がひらひらと舞い落ちる校庭を眺めながら、そんなことを考えていた。
「あっ、ねぇ知ってる?」
“本当の恋”について真剣に考えていた愛チャンがいきなり声を発したかと思った鞄から一枚の紙を取り出した。