コンテストなんて、この際関係ない。
あたしの想いを伝えたかった唯一の人が目の前にいる。
あたしにとっての王子様。
彼があたしを呼んでいる。
だから、あたしは……楓のもとに行く。
ステージを勢いよく飛び降りて、楓のところまで走った。
「……楓っ」
光で眩しかった楓の顔がここならよく見える。
楓の瞳に映るのは、今にも泣き出しそうな顔をしているあたし。
でも、今までのあたしとは違う。
強さ、勇気、度胸……。
そして、楓を信じる心。
それに気づけたあたしに、何も怖いものなんてない。
「……よく出来ました」
柔らかい笑顔を浮かべながら、あたしの髪に指を通す。
それだけで、胸が甘く音をたてる。


