すると、楓はステージから少し離れたところで足を止めた。
そして真っ直ぐにあたしを見つめる。
「……穂香」
真剣味を含んだ瞳とは裏腹に、あたしの名前を呼ぶとふんわりと優しく微笑んだ。
ドキッ……
その笑顔に胸が甘く音をたてる。
「楓っ、どうしてここに……?」
涙のせいで上手く声が出せなかったのに、楓はしっかり聞き取ってくれた。
「お前、言ったろ? 俺を信じるって」
差し込む光が反射して、楓が眩しい。
「だから、迎えに来た」
そう言い放つと、王子様はとびっきりの笑顔で微笑んだ。
「そんな……」
なんだか夢の中にいるようで、信じられない。
何を言えばいいんだろう……。
「なに? なんか不満?」
野次馬である観客なんてお構いなしの楓は、ポケットに手を入れて首を傾げる。
「そ、そうじゃない、けど……」
ここで楓が来てくれたことは、すっごく嬉しい。
だけど………


