ーーガタンッ
すると突然、体育館の扉の向こうから鈍い音が聞こえてきた。
スポットライトで照らされているあたしから、観客が一斉に体育館の入り口の方へと視線を移す。
な、なに……?
ーーガラガラガラッ
体育館の重い扉が開けられて、外の光が館内に差し込んだ。
その光があまりにも眩しくて目を細める。
キレイにセットされた茶髪と、タキシードに飾られたスパンコールが反射してキラキラと輝いて見える。
「う、そ……」
表情は見えなくても、異才を放つその独特な雰囲気ですぐにわかった。
「楓……」
登場はお姫様が決まってからのはずなのに……。
どうして今、楓がここに……?
「相沢さんっ、登場は後ほどですから戻ってください!」
役員の生徒が楓の後ろから走ってきて、楓を引きとめようとする。
「うっせぇ。ついてくんな」
シーンと静まり返った館内に、低いトーンの楓の声が響いて聞こえる。
足早でこちらに向かってくる楓に、観客は自然と道をあけた。
あたしは頭が真っ白になって、そんな楓の姿をただただ見つめていることしか出来なかった。


