観客の視線がその声の主へと向けられる。
あたしも観客の視線を辿る。
あ……あの子。
あたしは一瞬、目を疑った。
それは……今でも鮮明に覚えている。
一年前、あたしは楓ファンの女の子達から卑劣な嫌がらせを受けていた。
その主犯であった……彼女だったんだ。
どうして……?
相変わらずの派手なメイクに巻き髪。
刺々しい口調、えらそうな態度。
何一つ変わってない。
なのに……
どうしてあの子が……?
「見てることしか出来ないヤツらに、あの子がそんなこと言われる筋合いないわ」
さらに耳を疑った。
あの子って……あたし?
「アンタらにあんなことする度胸ある?」
観客は何も言わずに彼女を見つめる。
女の子の鋭い瞳があたしを捉えた。
ビクッとして俯きたくなったけど、あたしは彼女を見つめ返した。
「えっ……」
思わず声を上げてしまった。
さっきまでの冷たい態度とは裏腹に、見たこともないような優しい微笑みをあたしに向けたから……。


