「ううん。そんなこと全然いいよっ」
眉を下げて申し訳なさそうにあたしを見つめるあーちゃんに、あたしは笑顔を向けた。
「……でもさ」
愛チャンが思い立ったように口を開く。
「楓クンの言ってた“覚えてねぇの?”って、どうゆう意味なんだろう……」
「確かにそうよね。穂香、王子と何か約束でもした?」
あーちゃんの言葉にあたしは首を傾げる。
確かに昨日、楓は“覚えてねぇの?”ってあたしに尋ねた。
それがどうゆう意味なのか未だにわからないまま。
「わからない……」
「そう……。でも、そんなことを言うってことは何かあるのよね。きっと」
そうだよね……。
楓が覚えてて、あたしが忘れてることって一体なんだろう……?
ーー『勝手にしろ』
そう言い放った時の楓の表情は、いつになく切なそうだった。
それなのに忘れてるなんて、あたし……最低だよ……。


