妙な沈黙が痛い。

それに耐えきれず、あたしは口を開いた。

「…で、どうしたの?」

恐る恐るあたしが聞くと蓁宮椿姫サンはクスッと笑って、長い黒髪を揺らす。

「決まってるじゃないですか」

あ、悪魔の笑顔、再び……。

コイツ、ただ者じゃないな……。

背中に冷や汗をかきながらも、目を逸らすことが出来なくて、ただ蓁宮椿姫サンを見つめる。

悪魔の笑みを浮かべながら、蓁宮椿姫サンはゆっくりと口を開いた。

「楓のことですよ」

楓の、こと……?


蓁宮椿姫サンは、あたしを見て、バカにしたように鼻でクスッと笑う。

「とぼけないでくださいね? 私、知ってるんです。アナタが楓を好きなこと」

な、なななな、なに言ってるの……?

図星の答えに、思わず目が泳いでしまう。

「私……」

サラサラな黒髪が揺れた。

すみれの香りが、あたしの鼻を撫でる。

「楓が好きです」


……平凡に過ごしていたあたしに。

またまた嵐の予感です……。

(泣)