「ちょっとちょっと! 大ニュースだよぉ!」


柚月サンに宣告状を叩きつけられた翌日。


いつもより騒がしい教室に、愛チャンが大慌てで走ってきた。


クラスのみんなに注目される中、愛チャンは呼吸を整えて興奮気味に言った。



「コンテストの王子様は、楓クンだって!!」


愛チャンの言葉に、女の子達が黄色い悲鳴をあげる。


「キャーーーー!!」


「やっぱり王子かぁ!」


「あたし、絶対優勝して、王子にキスしてもらうー!」


「それはあたしよ!」


いがみ合う女の子を横目に、あたしは机に突っ伏した。


やっぱり楓かぁ……。


まあ、楓が選ばれないワケないよね。


もお、どうしよう……。


「穂香、どうかしたの?」


あたしの前に座るあーちゃんが、心配そうにあたしの顔を覗き込む。