「……しま」



でも、やっぱりこのままっていうのもなぁ……。


逃げてばっかりじゃなくて、ちゃんと柚月サンに伝えた方がいい?



「……川島」


……いや、でもいきなり「あたしが楓の彼女です!」なんて言うのもな。



うーん……



「……川島ぁあああ!」


「は、はいぃいい!」


先生の怒鳴り声が耳に届いて、あたしは思わず立ち上がった。


目の前には、鬼のような形相の先生。



あぁああああ……あたしってば、なにやってんのよ……。



「お前、授業聞いてたか?」


「い、いや……その」


全く聞いてませんでした……。


気まずくなって目を伏せるあたしを見て、深いため息をついた先生は、


「川島、お前は……」


勝ち誇ったような笑みを浮かべた。