「これ……」


あたしの左手の薬指に光る指輪。


オレンジ色のスタンドライトに照らされた宝石がキラキラと輝いている。


「まだ早いけど、遠い約束」


楓はそう言って、あたしに柔らかく微笑んだ。


「楓……」


胸がキュンと音をたてた。


あたし……今、かなり幸せかも。


「いつか、本物をやるから」


「ううん。これで十分だよ。ありがとう」


本物か偽物か。


そんなことは関係ない。


楓の気持ちが、あたしにとっては最高のプレゼントだから。


「楓、今日は本当にありがとう。幸せな1日だったよ」


あたしが楓を見上げてそう言うと、楓はふぅっと息を吐いた。


そして……


「穂香、可愛すぎ。そうゆうの反則」


あたしの瞼に優しいキスを落とした。