なんで、あたし、爽と愛チャンを見て傷ついているの……?
美男美女の2人は、すっごくお似合いで。
あたしには、眩しすぎるくらいで。
別に、あたしが傷つくことじゃないのに……。
なんで……?
あたしが好きなのは…。
「穂香、モタモタしてっと置いてくぞ?」
ーー楓だけなのに。
なんでこんなに胸が痛むの?
あまり2人を見つめていると、涙が溢れそうだったから、あたしは悲しみを打ち消すように楓の後を追いかけた。
あたしの異変に気づいたのか、楓は眉間にシワを寄せながら、あたしの顔を覗き込む。
楓の甘い香りがあたしの鼻をくすぐって、余計に切なくさせた。
あたしが好きなのは、甘いチョコバナナをくれるような優しい王子様。
だから、爽と愛チャンを見て、こんなに切なくなることはないんだ。
自分にそう言い聞かせても、あたしの悲しみは消えなくて。
あたし……バカみたい。


