愛チャンは、気まずそうに『いいの?』と尋ねた。


それに対して、あたしが大きく頷くと『じゃ、行くね!』と笑顔で言ってくれた。


でも、愛チャン来てくれるかな……?











「……で」


愛チャンが来ない中、楓が不機嫌そうに口を開いた。


「……なんでお前がいんだよ」


その言葉は他の誰でもなく、彼に向けられたもので……。


「はあ? 俺は穂香の誕生日を祝いに来たんだ。お前になんか用はねぇよ」


「バカが」と呟いた爽に、楓は眉間にしわを寄せる。


「に、人数が多い方が楽しくなると思ってさ」


ふたりの仲裁に入るかのように瀬川クンが焦り口調で言った。


……そう、あの後、爽がキレイな花束を持って来てくれたんだ。


どうやら瀬川クンが誘ったらしい。


確かに、多くの人に祝って貰うのは嬉しい。


けど……楓にとっては、とてもじゃないけど嬉しいとは言えないみたいだ。