びしょ濡れになった楓を見て、
「あれ~? 楓クン、どうしてそんなに濡れてるのぉ?」
なんて、幼稚園の先生みたく顔を覗き込んでみる。
「お前なぁ……」
案の定、楓は悔しそうに顔を歪めていた。
へへん。
いつも意地悪されてるんだもん。たまには仕返ししなくちゃね。
「いくら初夏といえ、こんなに濡れてちゃ風邪引くな」
「つか、お前の方がよっぽど濡れてねぇじゃん」と眉間にシワを寄せた楓が口を尖らせる。
確かに……。
最初にやられたのはあたしだけど、最終的には楓の方がびしょ濡れになった。
……ちょっとやり過ぎたかな?
「ほら。ホース片付しておけよ」
「はーい」
あたしが返事をすると楓は困ったように笑って、家の中へと入って行った。


