次々とお粥を口に入れていくあたしを楓は優しい顔で見つめていた。



「ご馳走様でした」


空になった土鍋を見て、楓は満足そうな表情を浮かべる。


「いくら熱出てても、食欲だけは変わらないんだな?」


そんな皮肉たっぷりな言葉とともに。


「う、うるさいっ!」


もおっ!


こんな時くらい優しくしてくれたっていいじゃない!


そんなことを思いながらあたしはまたベッドに横になる。


「まあ、ちゃんと薬も飲んだし、明日には良くなるだろ」


背中越しに楓の声が聞こえる。


なんか、楓にはいつもお世話になってばっかりだな……。


熱が下がったら、あたしも何かお返ししなくちゃ。


「じゃ、何かあったら呼べよ?」


そう言って、ドアを開けた楓をあたしは呼び止めた。


「か、楓」


カラダを起こして、ドアの近くにいる楓に視線を向けた。


当の本人は不思議そうな顔であたしを見ている。