息を切らして立ち止まる先に、やっぱり水沢日向クンがいた。


あたしに気づいた彼は、笑顔を見せ、あたしの元へ近づいてくる。


あたしの勘は外れてなんていなかった。


あたしと水沢日向クンが初めて出会った場所。


家からそう遠くない、あたしが水沢日向クンのネックレスを拾ったあのコンビニだ。


「この場所にいるって、わかったんだ?」


青い傘を差して雨粒を避ける彼が、挑発的に笑みを浮かべる。


「はぁ……、なんとなくよ……っ」


髪から頬、カラダへと、受けた雨粒があたしに降り注ぐ。


「取りあえず、濡れない場所に行こうよ」


「俺の家、すぐ近くだから」と、そう言ってあたしの手を掴む手を振り払った。


「ここで話して」


もう既に濡れちゃってるし、どこで話しても同じ。


どうせなら、出来るだけ早く話を聞きたい。


「……そうだね。じゃ、ここで話そう」


水沢日向クンはそう言って、ズボンのポケットから例のネックレスを取り出した。