楓の言葉は恋の媚薬のようで。
「か、楓……」
すると楓はいきなり視線をずらして、なにかに気づくとまたあたしを見た。
「今夜、迎えに行くから」
優しい口調で甘味にそう囁いて。
「穂香ぁ~!王子ぃ~!」
あたし達を呼ぶ甲高い声が聞こえて、あたしは声のした方に視線を向ける。
そこには、あーちゃんと瀬川クンの姿があった。
楓、あーちゃん達に気づいたんだ……
だから、あんなことを。
「もう!思ってたより全然怖かったぁ!」
思い出すように上を見上げて「あー怖い怖い」と腕をさするあーちゃん。
「オカルト好きの亜沙子でさえ怖がってたもんな」と瀬川クン。
ふたりの話によると
あのホラーハウスは最長で1時間出られないこともあるらしい。
それは人によって違くて。
あーちゃん達は全ての部屋に入ってこれたみたいだ。


