「ウハハハハハッ!」と不敵な笑みを浮かべてあたしに近づいてくる幽霊の男の子。
「い、いやぁあああ!」
あまりの驚きと恐怖で思わず、迫り来る幽霊にケリを入れてしまった。
「……ティヤ!」
ちょうど急所にあたったのか、幽霊は痛そうに膝を抱えてうずくまる。
「出たな。空手技」
哀れな幽霊、それを呆然と見つめるあたし。
なのに楓は他人ごとのように見物にして、脳天気に笑っている。
こ、コイツ~!
この一大事になんでまた笑ってるのよ!
幽霊の男の子は相変わらず痛そうにうずくまっちゃってるし……
「ちょっと!笑ってないで、どうにかしようよ!」
「そんなこと言ったってお前がやったんだろ」
まあ……そりゃ、ごもっともな意見なんですが……。
「あのぉ……」
ふたりで(というかあたしが一方的に)言い合いしていると、なにやら下の方から声が聞こえた。
ふたり同時に声のした方に視線を向ける。


