なるべく早くゴールするべく、もう探検するのは止めた。
だって怖いし、あんまり居たらまたさっきみたいに幽霊に怒っちゃいそうだもん。
楓のシャツの裾を摘み、奥の扉へと急ぐ。
それにしても、本当リアルに出来ているなぁ……
ベッドとかも、毛布の配置とか寝起きのままって感じだもん。
生活感ありすぎ……
ベッドを通り過ぎようとした瞬間、誰かに足首を掴まれた。
「……ヒッ!」
青白く細い手がベッドの下から伸びてきて、あたしの足首をしっかりと掴んでいる。
あまりの驚きで声も出せない。
「どうした?」
あたしが立ち止まっているのに気づいた楓が振り返って立ち止まる。
「ウワァアアアアッ!」
その瞬間、ベッドの下からうなり声をあげて何かが出てきた。
足首はもう解放されたけど、掴まれた違和感がまだ残っている。
ここにいるのは、やっぱり男の子みたいだ。
見た目からして、年は10才くらいだろう。


