もしかしたらコノ人が、噂のアノ大富豪サン!?
……なんて言ってる場合じゃないって!
「い、いやぁあああああ!」
悲鳴をあげると、さらに「ウォオオオオ!」とうなり声をあげて、襲いかかってくる幽霊。
ちょっと!こんな時に楓は何してんのよ!
隣の楓を見ると、涼しげな顔を浮かべてズラリと並んだ本を眺めていた。
こ、この男ぉおおお!
楓を睨みつけている間もなく、幽霊がまたもや襲いかかってくる。
なんて空気読めない幽霊なのよっ!
あたしが楓と闘ってるっていうのに、いきなり襲いかかってきて!
「……ちょっと! 止めてってば!」
大声で叫ぶと、幽霊の動きがピタリと止まった。
……おっ!
結構効き目あった?
よぉし! この調子で!
「あのね、状況分からないの?幽霊だからって甘く見るとでも思ってるわけ?」
威厳のある声で言い聞かせているうちに、幽霊の恐ろしい顔が徐々にしぼんでいく。


