「お迎えにまいりました……お姫様?」
そう耳元で優しく囁かれて、くすぐったい。
どうしてだろう。
あたしに発信機でもついているのかな?
そんな大袈裟に思う程、彼は困ったあたしの元にすぐに駆けつけてくれるんだ。
“お姫様”だなんて。
でも本当にお姫様になったような気になってしまう。
「あ、相沢……」
口をポカンと開けて立っている男の子達から守るように、楓があたしの前に出た。
首筋にほのかに香水の香りが残っていてドキドキしてしまう。
「……コイツは俺の」
さっきとは違う、静かに低いトーンで言い放つ。
楓……
かけつけた瀬川クンも男の子に何か言っているようだけど、あたしの耳には届かない。
『お迎えにまいりました……お姫様?』
『……コイツは俺の』
楓の言葉が、声が。
繰り返し耳に響いていて耳から離れない。
「……す、すいませんでしたっ!」
男の子達は目を泳がせながら、怯えたように立ち去って行った。


