「暑ーい!」

それは梅雨が明け、一気に暑さが著しくなった6月下旬のことだった。

コンコン

「はーい。」

「入るわよー。」

ガチャッ

ノックをしたのはお母さんだった。

「お母さん、何?」

「あのね、若菜には言ってなかったんだけど。」

何、なんだろう。

嫌な話、だったりする?

「うん。」

「家庭教師雇ったから。」

なんだ、そんな事か。

って、え!?

「ええ!?」

なんでまた?

「若菜も来年受験でしょ?
で、こういうのは早い内にやっておく程いいって言うじゃない?
だから、夏休みの1週間前、ちょうど1ヵ月後頃?
から、来てもらうからね。」

「えぇー…。」