そして、男は入り口の真横に置いてある《飯田家葬儀場》と書かれた大きなプレートに視線を向けたまま、 一歩、また一歩と後退を始めた。 その表情は険しく、まるで見てはいけないものを見てしまったかのようだ。 新田は息を潜め、その様子をうかがう。 待ち人来たり! そう思うと鼓動は高まり、自然と手に汗がにじみ出た。 視線をその男へ集中させたまま、スーツのズボンから携帯電話を取り出し、番号の1を押す。 1、を押しただけで藤堂に繋がるようになっているのだ。