「ろくでもなかろうが何だろうが、客がここまで来てくれてんだ! つべこべ言わずに出やがれ!」 「朝から怒ってばかりだと血管が切れて死ぬぞ」 「うるせぇ! 誰のせいだと思ってやがんだ!」 そんなやり取りをする声が数回聞こえた後、ようやく目の前の扉が開いた。 「あの、ここは――」 そう言いかけて、目の前に突然現れた上半身裸の青年に幸也は言葉を失う。 大きな黒目に、濡れて頬にペッタリと張り付いた漆黒の髪が妙に色っぽく、そして闇を連想させた。