19の夏~私の愛した殺人鬼~


「バカたれが! 俺にこんな事言わせるんじゃねぇよ!」


 再び怒鳴り、ドアを一発殴りつける。


 太陽の上がりきらない、薄い青色をした朝を思い出す。


 二つの分かれ道を思い出す。


 山の中の急カーブを思い出す。


 ……その時だった、静かにドアが開いた。


 座り込んだまま、顔だけ上げる。


 そこには下半身にタオルを巻きつけた、無表情のネコが立っていた。


 男にしては少し長めの、肩にかかる髪から水滴が滑りおちて、冬我の頬に落ちた。