「バカたれが! 俺にこんな事言わせるんじゃねぇよ!」 再び怒鳴り、ドアを一発殴りつける。 太陽の上がりきらない、薄い青色をした朝を思い出す。 二つの分かれ道を思い出す。 山の中の急カーブを思い出す。 ……その時だった、静かにドアが開いた。 座り込んだまま、顔だけ上げる。 そこには下半身にタオルを巻きつけた、無表情のネコが立っていた。 男にしては少し長めの、肩にかかる髪から水滴が滑りおちて、冬我の頬に落ちた。