19の夏~私の愛した殺人鬼~

☆☆☆

 耳元で、むなしいコール音だけが鳴り響く。


 それでも、幸也は携帯電話を切らなかった。


 隣では新田がサイレンを鳴らしながらパトカーを運転している。


「出たか?」


「いいや」


 この会話も、もう五回以上はした。


 ずっと藤堂の携帯電話でコールしているのだが、一向に出る気配はない。