紗耶香は、昌代の顔にかけられた白い布に、手をかける。 しかし、その右手がどうしても震えてしまって、『布を取る』という、ただそれだけの行為ができない。 この布を取ってしまうと……昌代の顔を見てしまうと……認めるしかなくなってしまう。 もうこの世にはいないのだと、現実を突き付けられてしまう。 それが、こわかった。 その時だった、後ろからヌッと手が伸びてきたかと思うと、昌代の顔にかけられた布がパッと剥ぎ取られたのだ。 思わず、小さな悲鳴をあげて目をそらす。