霊安室の中はヒヤリと冷たくて、薄暗かった。 二人の後から部屋に入った看護士が、無言のまま明かりをつける。 パッと照らし出された部屋で、真ん中にポツリと置かれた白いベッドが、輝くほど眩しく見えた。 その、輝くベッドの上にイトコの昌代は眠っている。 心だけが遠く遠く離れた世界へ行ってしまい、入れ物だけになったその体。 主を失った肉体は、ただ腐り、くち果てるのを待つだけだ。 「お姉ちゃん……」 そっとベッドへ近づいていく。 その後ろ姿が、はかなく散りゆく黒薔薇に見えた。