19の夏~私の愛した殺人鬼~

☆☆☆

 消毒液の臭いがキツすぎて、紗耶香は喉を押さえた。

 真っ白というより、薄汚れてクリーム色に近くなった廊下を、母親と一緒に、看護士について歩く。


 蛍光灯がチカチカと点滅しながら《霊安室》と書かれたプレートをほのかに浮かび上がらせていた。

 その扉の前で立ち止まり、大きく深呼吸を繰り返す。

大丈夫、大丈夫。

 そう、心の中でおまじないのように繰り返し唱える。


 ここに来る前に、背の高いモヤシのような刑事から、事情はすべて聞いていた。

 昌代はただ死んだのではない。

 殺されたのだと。