19の夏~私の愛した殺人鬼~


「君、シェイクスピアを知ってるの?」


「当たり前でしょ? どれだけ有名な人物だと思ってるのよ」


 呆れたように肩をすくめる沙耶香に、栗田は嬉しそうに微笑んだ。


「僕の周りに物語を読むヤツなんてほとんどいないんだ。

ましてやシェイクスピアなんて『チケット売ってるのか?』なんて言われて終るよ」


「ヒドイ。それって『チケットぴあ』じゃない」


 と、顔をしかめてから、二人は思わず噴出した。

 シェイクスピアがチケットぴあだなんて、本当に信じられないほど無知な連中だ。


 けれど、それがどうにもおかしかった。