けれど、自分の音じゃない。 背中に回された栗田の両手。 ギュッと沙耶香を抱き締めた栗田の呼吸が、すぐ近くで聞こえてくる。 「え……?」 突然のことで理解できず、爽香は身をよじってその手から逃げ出そうとした。 しかし、栗田の手が更に強く抱き締めてくる。 「俺のこと、好き?」 「へ?」 「答えて。俺のこと、好き?」 グルグルと頭の中でその質問の答えが巡る。 だけど、その半分は真っ白で、なかなか言葉にならなかった。