「ない……」 「ない?」 「ないの。山に入る前に拾った携帯電話が!」 思わず声を荒げて、スカートのポケットをひっくり返して探す。 けれど、ポケットの中は空っぽで、奥に入り込んでい埃がパラパラと地面に落ちただけだった。 「ネコ、どういう事だ?」 冬我がネコを振り返る。 ネコは目を細め、右手でヒゲの生えていないツルツルのアゴを触った。 「……おそらく、お役目終了ってことだろう。 ここから先は自分たちで考えろってことだ」