藤堂と別れ、教室内へ戻った青年は、ズボンのポケットから携帯電話を取り出した。


 机の上に両足を投げ出し、メール画面を開く。


 その指が、登録メモリの中から一つの名前を呼び出した。


《メール宛先: オルフェウス》


 それから青年はなれたように先ほどの藤堂とのやり取りを、メールに打ち込み始めた――。