19の夏~私の愛した殺人鬼~


 全員が車を下りた後、道の通じない山の手前で幸也は腕組みをする。


 迂回するとすれば相当な時間がかかる。


 山の向こうまで行くのに日が暮れてしまうかもしれない。


「そうだな……この携帯から感じる霊気を信じるしかないだろう」


 ネコはそう言い、沙耶香の手の中にある携帯電話を指先で叩いた。


「信じる……?」


「そう。

この霊気が君のお姉さんのものであれば、山へ入っても簡単に抜けられるはずだ。


だが、そうじゃなければ悪い霊が俺たちをハメようとしているのかもしれない。


その場合は、最悪なパターンも考えておくんだな」