「『幽霊の携帯電話』ってのは、ある一部の地域での都市伝説なんだ。 トイレの花子さんほど全国に知られている幽霊ではないが、その都市ではかなり有名な話らしい」 「それは、どんな噂なの?」 「書いてある通りだ。 『夜歩いていると目の前に携帯電話が現れる。それを見ると、あの世へと導かれる』 っていうのが最も多い」 「あの世か……。 この噂、本当なのかしら」 沙耶香の言葉に幸也が、 「そんなわけないだろ」 と言い返す。