「ちょ、ちょっと…」

「脚がパンパンに腫れてるよ。たぶん注射で鬱血した血を抜かないとダメだな」

「そ、そんなに酷いの?」

「ああ、たぶんな。どうすっかなあ。救急車呼ぶほどじゃないしな…。あ、そうだ」

紳君は携帯を取り出し、どこかへ電話を掛けはじめた。

「紳君…?」

「ちょっと待って。
あ、お袋さん? 悪いけど、車出してくれる? 恵子が怪我したから。え? 脚をぶつけただけだよ。校門の傍の公園。慌てなくていいから、飛ばすなよ。よろしく」