恋のMission〜年下クール男子を誘惑せよ!〜

紳君は文句も言わず、歩くペースを私に合わせてくれたっけ。

紳君って、見掛けに依らず優しかったなあ…

あ、涙が出そう。

早く帰りたい。帰って部屋で思い切り泣きたい…

紳君達の背中がどんどん近付き、あとほんの数メートルのところまで来ていた。

このままだと紳君と顔を合わせちゃうから、どこかで脇道にそれよう、と思った矢先だった。

「よし、あいつらの事、冷やかしてやる」

「え?」

私が止める間もなく、田中君は紳君に向かって駆け出していた。

そこに脇道はなく、隠れたくても隠れる場所はなく、私はただ立ちすくむほかなかった。