まりあは、私を通り越した向こうを見た。 私は、まりあをじっと見つめた。 白い肌に、林檎のように赤い唇。 大きい瞳に長い睫毛。 筋の通った形の良い鼻。 茶色く、ゆるくウェーブのかかった柔らかい髪。 細長い手足。 キュッと引き締まった体。 その、まるで人形のような容姿をした、まりあ。 彼女はそこにいる。 すぐそばに、私のすぐそばにいる。 確かに彼女は存在して、そこにいるのだ。