「……あゆちゃん?」 「そうだよ。 ゆうちゃんとナナちゃんもいるよ」 ゆうちゃん―悠衣―と、ナナちゃん―七瀬―の姿が愛夕の後ろからひょこっと見えた。 「どうしたの?」 「それは、あとで! はやく、まあちゃんもおりてきて」 ――窓から降りる。 その時のまりあにとって、窓から降りるというのは、今の二階のベランダから降りるに等しい怖さだった。 一人では、絶対に降りられなかっただろう。 でも、その時は、みんながいた。