その時、まりあと愛夕達は小学三年生だった。 その頃は特に体が弱く、楽しく遊ぶ夏も、毎年入院生活だった。 夏は、昼と夜の気温の差が激しく体調が崩れやすい。 毎日つまらない日々を過ごしていた、ある日――。 夜遅く。 読めない時計は、十二と九を指していた。 コンコン、と窓を叩く音が聞こえてきた。 窓際のベッドのまりあは、目をこすりながら、窓を開け、淵に手をかけ外を見た。 「まあちゃん」 窓の向こうにいたのは――愛夕――だった。