◇天国まであと七十四段 今日も、相島さんはいた。 光の中に、座っている。 私は、影の中で、立っている。 私は今日も、階段を上った。 上った後、しばらくその場に立っていた。 相島さんは特別何か話しかけるわけでもなく、ただぼんやりとどこかを見つめている。 じわじわと何かがこみ上げてきて、すごく泣きたくなって、相島さんにこっちを見てほしいと思った。 なぜだかはわからないけれど、とにかく、こっちを見てほしいと思った。 キュッと胸が締め付けられる。 相島さんを見ていると、いつもそうなる。