「萩原、萩原のサイフは……これだな?」 吉木が、英子のものだと思われるサイフを見せた。 私のカバンの中に入っていたものだ。 「…そうです」 英子が受け取る。 「じゃあ……。斉藤への対処はこれから二人で話すから、萩原は教室に戻れ」 少し不服そうな態度で、それでも英子は立ちあがった。 「………はい」 最後に私を一睨みして、英子は校長室を後にした。 校長室には、吉木と私の二人きりになる。