「私たちぃ、斉藤さんのゴキブリ菌のついたもの、全部排除してあげたからぁ。

これでみんなが救われたのよ。
ね、万里香ぁ」
 


前は、この麗子の語尾を伸ばしたねちっこい喋り方が、いちいち気に障ってイライラしていたが、もう、そんなことどうでもいい。

横目でチラリと万里香を見た。



「うん。麗子ちゃんのおかげ」
 


万里香が麗子をおだてると、麗子は満足そうな顔をして、教室中を見渡した。



麗子に文句を言う人はいない。
いつも通りの事だけれど、自分は独りだと実感させられる。


みんな弱い。私も弱い。
そう、思った。