「さっさと行けよっ」
暫く俯いて動かなかった私を、英子が後ろから蹴った。
咄嗟のことに倒れる。
「どけよっ。邪魔」
英子はそう言って、私の手を足で踏んだ。
ギシ……と、英子の全体重が手にかかって、手の骨が折れそうになる。上履きのかかとが手に喰い込む。
「い…痛いっ…」
私がか細くそう叫ぶと、英子は鼻でフッと笑って、教室を出ていった。
「あー…たりぃ」そう言ったのが聞こえた。
それなら、こんなことしなければいいじゃない。
面倒くさいことをしてるのは、そっちじゃない!
心の中でそう叫んで、唇を噛んだ。
そして、ゆっくりと立ち上がった。

