「そ…んな……。
トイレに行った人だって、いるじゃない…!」
聞こえるか聞こえないかくらいのか細い声で、訴えた。
実際、私は授業中一度も教室に戻らなかった。
確か……英子がトイレに行ったはずだ!
あ――。
でも、被害者である英子を疑う人はいないはず……。
あいつらもそれをわかって―――!?
口の中を思い切り噛んだ。
私の言葉をまともに聞こうとする人はいなく、吉木も冷やかな目で、
「斉藤、ちょっと校長室に来い。……萩原も」
と言った。
胸が苦しい。息が出来ない。
どうしてあたしが、こんな目に遭わないといけないの……?
俯いた私を見るクラスメイトの目つきは、恐ろしいほどに冷たかった。

