「体育の間に、また誰かが盗んだんじゃねーの?」 クラスの男子が言った言葉に、教室内のざわめきは一気に大きくなった。 「誰だよ、盗んだ奴」 「さっさと名乗り出ろよ」 「犯人探し、しようぜ!」 面白がって、勝手に男子たちが“犯人探し”をし始めた。 吉木は、止めることもできずに、ただ嫌そうな顔をしていた。 勝手にベタで適当な推理を言い合っている男子達を前に、亜未が口を開いた。 「授業を受けてたあたしたちには、無理に決まってんじゃん? 体育、やってなかった人じゃないのぉー?」