私は一番にママのことを考える。 それは、ママが一番に私のことを考えてくれるからだ。 「じゃあ、行ってくるわね」 「うん、行ってらっしゃい…」 キィィ…というさびれたドアの金具の音がする。そして、バタンとドアは閉まる。 「ママ――。 もうママに、辛い思いはさせないよ――」 小さく、でもハッキリと呟いた。