私が教室に入ると、 中にいた全員が私を横目でちらっと見て、にやりと笑った。 どうせまた麗子たちが何かをしたのだろうと思い、何食わぬ顔で席に着いた。 教科書やノートがない。 机の中に手を入れても、 学期の始まりみたいに、すっからかんだ。 もともと麗子たちに切り刻まれてボロボロだった教科書だが、今度はそのものを奪われてしまった。 教科書がなくては、 授業中に、それなりに困る。 借りる相手もいない。